▲業平|高樹のぶ子著
小説伊勢物語業平|高樹のぶ子著を読んだ感想
こんにちは。
今回は小説伊勢物語業平に登場したゆかりの地を巡りました。
小説伊勢物語「業平」
作者は高樹のぶ子さん。
業平を読み終わった時の私の目は涙でいっぱいでした。笑
小説なんて普段は全く読まないので、本を読んで泣くのは10年以上も昔の話。
まさか私が泣くなんて。
まだ私の心に涙を流すほどの感情があることに私自身が驚きました。
①最後の業平が死ぬ間際はずっと泣いてた
②初めて在原業平のことが知れて良かった
③学校の授業よりこの本を読んだほうが良い。笑
④これからの京都の生活がより楽しくなる
▲在原業平邸跡碑
在原業平邸跡
業平を読み終えた後。
家から歩いて行ける場所に在原業平邸跡の石碑があったことを思い出しまして。
すぐに家を飛び出しました。
何十回もこの石碑前を通りましたが。
「在原業平って学校の授業で聞いたことあるなぁ。。。」と今まで全く興味無かったのに。
この場所で業平と憲明が暮らし、夜になれば数々の女性の家に向っていたこと。
応天門が炎上した時もこの場所から駆け付けたと思うと胸が少し苦しくなりました。笑
石碑しか残っていないことは残念だけど。
石碑だけでも残っていることが有り難くもあります。
何も残っていないことのほうが多いから。
▲清水寺本堂
▲清水寺から京都市内を眺める
高子との出会い
「憲明に届けてもらう。五条の后邸の築地は崩れていた。犬はおらぬようだ」
業平の中でも最も印象に残る女性、高子の住む五条の后邸は私の調べた限りわかりませんでした。
清水寺詣に来ていた高子と業平が車越しに初めて会話したのは清水寺本堂前。
何度も訪れた清水寺は京都らしくて大好きな場所ですが。
これから清水寺を訪れる時は業平と高子が出会った場所として訪れる楽しみが増えました。
▲紫宸殿
京都御所
高子と業平が初めて共寝した後涼殿は残っていませんが。
京都御所に行けば、当時の雰囲気を少しは感じることができます。
後涼殿は清涼殿の裏に建物があったようなので。
京都御所の紫宸殿辺りの雰囲気に僅かに残っているのでしょうか。
天皇が暮らしてきた京都御所を観光しながら、業平と高子の出会いに思いを馳せるのは罰当たりと言いますか、あまり人に言えないですが。笑
京都御所に敷き詰められた砂利をジャリジャリ音を立てて進めば、近江の方が高子の手紙を届けてくれたシーンを思い出します。
▲石清水八幡宮本殿
▲石清水八幡宮から見える京都市街地
高子を連れて京都からの脱走
雨の中を高子を連れて都を脱走するシーンも印象的でした。
せっかく高子を連れ去ったのに、途中で失敗してしまいましたけど。
高子を雨風から守るために一時的に置いていった小屋が残っているかはわかりませんが。
石清水八幡宮辺りかな?と推測されます。
物語の中では父親である阿保親王のお墓参りのために芦屋に行く時にチラッと石清水八幡宮が登場しました。
石清水八幡宮を超えると大阪府なので、業平たちが都を離れる時の寂しい気持ちを少しだけ感じる取ることができます。
▲布引の滝
▲布引の滝に向かう途中から見える神戸市内の景色
番外:神戸の布引の滝
業平や源融たちが立派な滝があると見に行った布引の滝は神戸にあります。
写真は古くて申し訳ありません。
私が学生だった頃に当時付き合っていた彼女と見に行った時の写真です。笑
当時は在原業平ゆかりの地だなんて全く知りませんでしたし。興味も無かった。
京都から神戸までは1時間もあれば行けるので、また行きたいところです。
▲上賀茂神社楼門前
▲御手洗川
上賀茂神社の御手洗川
高子との恋は自分の身だけでなく高子の身まで滅ぼしてしまう。。。
高子への思いを断ち切るために御手洗川で身を清めると言い出した業平。
「女性を忘れるなら他の女性のところへ行けよ。笑」と憲明が突っ込む光景が浮かびます。
ある意味ピュアな業平を垣間見れるシーンでした。
また上賀茂神社は京都で一番好きな神社でもありまして。
何度も訪れていますが、まさか業平も来たことがあったなんて。
上賀茂神社境内を流れる御手洗川で手を洗うと気持ちをリセットできる気がして好きな場所です。
▲神馬堂の焼き餅
話は逸れますが、上賀茂神社の隣にある神馬堂の焼き餅は美味しいですよ。笑
▲平安神宮前の応天門
応天門炎上
当時の応天門は残っておらず、明治時代に建てられた平安神宮で復元された応天門を見ることができます。
和歌が上手い業平は弓も上手いと言われています。
若き頃は帝や貴族を警護する役目を果たし、馬に乗って凛々しい姿で都を走り回っていたことを思うと、「そりゃモテるよ。。。」としょうもないことを考えてしまいます。
▲五条大橋近くにある源融邸跡
源融邸跡
父親である阿保親王のお墓参りに同行したり、自身の大豪邸で塩を焼く煙を楽しんだり、左大臣を辞めると言って業平に留意するよう説得されるなど、源融は業平の良き友として何度か登場しました。
一説には源氏物語の光源氏のモデルとも言われる源融。
源融の大豪邸跡は石碑が建つだけで残念ですが、現在の五条大橋近くの雰囲気を感じ取るしかありません。
鴨川を眺めながら、塩を焼く煙を楽しんでいたのでしょうか。。。
▲大覚寺の勅使門
源融の隠居先
源融の父親である嵯峨天皇が造営した大覚寺はとても美しいお寺。
物語の中では源融が左大臣を辞任すると言い出し、業平が留意するよう説得しに行った豪邸は大覚寺や清凉寺辺りにあったと言われています。
▲松栄堂の薫路
番外:お香の世界
物語の中ではお香の香りを感じる場面が多く登場しました。
高子が送ってくれた手紙に残る香り、斎宮となった恬子内親王との間にできた子供を初めて目にする前に手紙に残る香りから身分の高い人だと判断した時。
数々の女性の家を訪れた時の香り等、お香の香りが度々登場しました。
京都にはお香のお店が街に点在していまして、私は山田松香木店と松栄堂の2店舗のみ行ったことがあります。
茶道や書道、華道と並び香道と呼ばれるようにお香の世界も奥深いことを京都に住んで初めて知りました。
少しずつ詳しくなっていこうと思います。
▲亀屋良永の唐衣
杜若(かきつばた)
業平が都を離れて東国に旅に出た途中で、現在の愛知県にある八橋と呼ばれる土地で美しい杜若(かきつばた)を楽しむシーンがありました。
その場で業平は「かきつばた」の五文字を頭文字にして歌にしました。
から衣 きつつなれにし つましあれば
はるばる来ぬる 旅をしぞ思う
京都移住してから和菓子屋さん巡りをしていると、「から衣」という名前の和菓子を何度か見かけてまして。
「から衣」の由来は在原業平が読んだ歌が元になっていると聞いてたのですが、「ふーん。へぇー」くらいにしか思わず、全く興味無かったのですが、業平を読んで意味がわかりました。笑
これからは和菓子屋さんで「から衣」を見つけたら必ず買います!
▲青蓮院門跡は物語には登場いないけど御簾がいっぱいあるのです。
京都移住した幸せを楽しもう
業平を読み終えて、勢いに任せて記事を書いてみました。
物語に登場した場面の中でも、私が写真を撮ったことのある場所を選んでみました。
京都旅行や京都移住して色々と京都巡りをして来ましたが、「良い景色」「雰囲気が良い」「癒されるなぁ」と思うことはあっても、「涙が出そう」「胸がドキドキ」と感情が高ぶることは少なかったです。
でも高樹のぶ子著の業平を読んだことで、同じ景色でも新しい感情が生まれました。
せっかく京都に住んでいるので、これからも歴史小説を読んでいきたいと思います。