京都旅行記

稚児桜|澤田瞳子著を読んだ感想とゆかりの地巡り

稚児桜澤田瞳子著感想文

稚児桜澤田瞳子著感想
▲稚児桜|澤田瞳子著

稚児桜|澤田瞳子著の感想と京都ゆかりの地巡り

こんにちは。
今回は稚児桜を読んだ感想とゆかりの地巡りです。

澤田瞳子さんの著作「稚児桜」を読みました。
歌舞伎ではなく、能の名曲を元にした8編の物語集。

私は能を見たことも聞いたこともないので。
新しい短編小説集を読んだ感覚でした♪
ネタバレは極力しないように稚児桜で登場した京都のゆかりの地巡りになります。

稚児桜の感想

①ハッピーエンド話は無くて
②晴れやかな気持ちにはならない
③辛い境遇の中でも強く生きた人達の姿が印象的
④学校の教科書では習わない当時の暮らしの一部が見える

稚児桜澤田瞳子著感想文
▲稚児桜表紙

稚児桜全体の感想

稚児桜を読んで思うのは、貧困が原因で親が子供を売るシーンが多いことが印象的でした。
そして物語の主役の多くが親に売られた子供達。

彼、彼女達がそうした不幸な生い立ちでも、強く生きる姿が多かった印象です。
実際に身売りされることが当時は日常だったかはわかりませんが。
学校の教科書では習わない当時の人々の生活が少しだけ知れて、単純ですけど私は恵まれるのかと思いました。
不満ばかり言わずに頑張ろうと少し思いました。

東本願寺境内から見える京都タワー
▲東本願寺境内から見える京都タワー

やま巡り:(山姥)

やま巡りは二人の若い遊女が主役。
ある目的を持って京都から東北地方に出掛ける途中で起きた出来事の話。
稚児桜の登場人物の多くが貧困が原因で両親から身売りされた生い立ちを持っていて、やま巡りの2人もそう。
でも負けずと生きる姿が強いなぁと思いました。

物語の中で2人が働くお店が七条東洞院通辺りにある描写がありました。
現在の七条東洞院通りは京都タワーのすぐ東側にあたりますが、現在は飲食店やホテルが集まるエリア。

粟田神社からの景色
▲粟田神社から眺める京都市内

小狐の剣:(小鍛冶)

刀職人の娘とその娘の彼氏の話
彼氏と言っても酷い男で、彼女を妊娠させて去った奴。
でも刀職人としての腕は一流。
でも人間性はクズ。

物語の舞台は粟田口。
現在では粟田神社の周辺と思われます。
平安神宮や青蓮院門跡の間に位置するエリアで、現在では観光名所も無くて、交通の要所って感じ。
昔はこの辺りに鍛冶職人が集まるエリアだった面影はほとんど残ってないと私は思います。
※あくまで私の印象ですので、実際には面影があるかもしれません。

清水寺本堂
▲清水寺本堂

稚児桜

清水寺が舞台の物語。
本の題名にもなっていますし、有名な清水寺が舞台なこともあって一番わくわくしながら読みましたけど。
稚児桜も両親から清水寺に身売りされた生い立ちを持つ2人の少年の物語。

観光名所の清水寺において、過去に稚児桜に登場した少年たちのような物語があると思うと少し切なく感じます。
清水寺と言えば京都を代表する観光地で、雰囲気も明るく景色も良い大好きな場所です。
そんな太陽のような場所でも、過去には暗い物語があったことを知りました。

今度から清水寺に行く時は、稚児桜に登場したシーンを思い出すんだろう。

下鴨神社糺の森
▲糺の森

秋の扇:班女

一人の遊女の話。
稚児桜の8編の物語の中で一番最後がショッキングでした。
自分のことを助けてくれた、信頼した人間が最後に裏切ってくる展開に驚きました。
同じ様に大臣の娘も最後に裏切られますが、稚児桜では後味の悪い物語が多い気がします。

秋の扇では私の大好きな糺の森が登場します。
世界遺産の下鴨神社は、昔から有名で人通りが多かったみたいです。

でも私の大好きな糺の森に暗いエピソードが付け加えられた感じで後味は悪いです。笑
物語を読みながら「こんな神聖な場所で止めてー!」と声を出しそうになりました。

京都御所紫宸殿
▲京都御所の紫宸殿

照日の鏡:葵上

源氏物語に登場する光源氏の妻、葵上に憑りつく怨霊を除霊する陰陽師の話
顔が醜い女として世間で有名な女の子が突然に京都で有名な陰陽師に売られ、陰陽師のアシスタントとして生活することに。。。

農家の家庭に生まれた女の子が突然に京都の貴族達から大人気の陰陽師のアシスタントとして、高貴な人達が怨霊に悩む姿にある真実に気づく。

物語の中では京都の貴族達の家に駆け付けるシーンが登場しました。
帝が暮らす京都御所や、嵯峨や宇治にも行ったみたいです。

大覚寺の勅使門
▲嵯峨にある大覚寺