▲正伝寺の借景庭園
正伝寺の借景庭園を見てきました。
こんにちは。
今回は比叡山の借景庭園で知られる正伝寺に行ってきました。
借景(しゃっけい)庭園とは、庭園の後ろに見える景色も庭園の一部として設計された庭園になります。
正伝寺(しょうでんじ)の場合は、庭園の後ろに見える比叡山も庭園の一部として石や木々が配置されていますので、比叡山が見えることが前提で庭園が造られています。
私の感想としては、庭園から見える比叡山が主役となっており、目の前の庭園は比叡山を引き立てるためにとてもシンプルな構成になっているのかなと思いました。
▲法堂からの比叡山
静寂に包まれる
私が正伝寺を訪れた季節は冬でしたので、比叡山や庭園の草木も色が落ち着いていましたが、春や夏には鮮やかな緑、秋には紅葉に彩られた景色を見ることができると思います。
季節に合わせて違う景色を見せてくれると思うと、目の前の庭園がシンプルな理由も納得でした。
また別の季節にも来てみたいと思いましたし、とにかく観光客が少なくて静かな時間を過ごすことができて心が安らぎました。

▲血天井
血天井でも知られる正伝寺
正伝寺は庭園だけでなく、血天井を持つお寺としても知られています。
血天井の名前の通り、天井に人の血の跡がびっしりと残っているのが特徴です。
この血天井は豊臣秀吉や徳川家康が活躍した戦国時代のものと伝わっています。
現在は残っていませんが、豊臣秀吉が建てた京都の伏見城の床板が正伝寺の天井に使われています。
かつて伏見城を守っていた鳥居忠元という武士が石田三成軍に攻められた時に、圧倒的強さの三成軍を前に勝てる見込みが無くなって切腹する決断をしました。
▲手の跡や足の跡にも見える。
戦国時代の悲劇の一つとして語り継がれてきた
当時の戦では負けた側の一族は一人残らず処刑されることが多かったので、鳥居忠元だけでなくその家族や一族、また忠元と一緒に戦った武士達も三成軍に処刑されるなら自ら命を絶つことを選びました。
そして正伝寺の血天井はその時に鳥居忠元一族が命を絶った部屋の床が使われています。
現代人の感覚では怖くて共感できないのですが、彼らの悲劇を忘れないように、彼らの冥福を祈るために、あえて血で染まった床を天井板として使っています。
▲借景庭園
目の前の美しい景色を見ながら頭上の恐ろしい天井から恐怖を感じる体験
目の前には比叡山を借景にした美しい景色が広がっているのに、頭の上には恐怖の血の跡がビッシリという不思議な体験ができます。
でもこの体験を私は他の場所でもしています。丸い窓と四角い窓の美しさが印象的な源光庵というお寺の天井にも血天井があります。
源光庵を訪れた時も美しい窓を見ることができて嬉しかったのですが、ふと天井を見ると血の跡がビッシリだったんです。
実は血天井は京都に何か所かありまして、正伝寺もその中のひとつです。
各所の血天井の由縁はどこも同じ伏見城の床板が使われています。
つまり伏見城の床板が何か所に分散して受け継がれたと言われています。
▲参道
京都市内には血天井が他にもあります。
私は血天井のあるお寺はほとんど行きましたけど、正伝寺は観光客が少なくて静かで庭園も美しいことから好きなお寺です。
場所によっては写真禁止のお寺もありますし。
ちなみに血天井のあるお寺の中では、私は源光庵が一番好きです。
正伝寺へのアクセス方法
京都駅から正伝寺へ行くのは少し手間がかかります。
正伝寺は最寄り駅が無く、バス停では神光院前から徒歩15分もかかります。
京都駅から地下鉄で北大路駅まで行き、北大路駅からバスで神光院前まで行きます。
(京都駅から北大路駅まで7駅。乗車時間15分。乗車賃:260円。
北大路駅から西賀茂車庫行きのバスに乗って神光院前まで。乗車時間10分。乗車賃230円)